“常に進化を目指す姿勢”オリックス 山本由伸 3年連続の4冠

プロ野球 オリックスの25歳、山本由伸投手が3年連続、先発投手の主要タイトル4冠の快挙を成し遂げました。背景には大切にしている心構えと、変化を恐れずひたむきに取り組む姿勢がありました。
(大阪放送局 記者 山崎航)

常に進化を目指して

「去年の自分を超える」
山本選手がプロ入り前からずっと大切にしている心構えです。

「去年できたことは、ことしもできて当たり前」
と、みずからに進化を求めてきました。

ルーキーの年(2017年)はプロ初勝利を挙げ、2年目には左腕の動きをキャッチャーに向けてまっすぐ伸ばす、今の投げ方に近い形に変えるなどフォームの変更を続けてきました。

ことし大きく変えたのは“投球時の左足の動き”です。

昨シーズンまでは左足を上げて90度に曲げ、軸足である右足に一度、体重を乗せて静止したあと、左足を踏み込んで投げていました。

今季の山本投手

今シーズンは左足をまっすぐ伸ばしたまま動きを止めずにマウンドとほぼ平行にして滑らせるようにして踏み込んで投げる形に変えました。

山本投手は、その理由について…。

山本由伸投手
「いろんなトレーニングをしている中でよいと思ったのものを繰り返していて、その延長線上でたどり着いたものだ」

新たなフォームを取り入れて臨んだ今季は

その効果は成績からも、うかがい知ることができます。

「与四球率」(9イニングの間に何個 フォアボールを与えたかを示す)
▽2021年シーズン:1.86
▽2022年シーズン:1.96
▽2023年シーズン:1.54(プロ7年目で自己最高)

さらに「防御率」は1.21をマークし、こちらも自己最高となりました。

伝説の投手のフォームとも類似

今シーズンもほかの投手を圧倒する成績を残した山本投手が、フォームを変更したあとに偶然にも目にした映像が、あの沢村栄治さんが投球する姿でした。

沢村栄治さん

戦前、巨人のエースとして活躍し、先発・完投型の本格派投手を対象にした賞「沢村賞」は、沢村さんを記念して制定されました。

山本投手が見た動画では、沢村さんが左足を高く上げずに伸ばすような形で投げていて、同じようなフォームだと感じたということです。

山本投手は「沢村さんとのめぐり合わせなのかはわからないけれど」としたうえで「新しいフォームは、よい点も反省すべき点も双方あった。今シーズンの形を生かしながらさらにレベルアップしたい」と、次の新たな目標へ“自分を超える”という覚悟を心に抱き続けています。

タイトルを獲得した山本投手は記者会見で心境を語りました。

山本由伸投手
「続けて活躍することはすごく難しいことなので、3年連続で獲得できたことに自分の成長を感じる」

【山本由伸投手とは】

岡山県出身の25歳。都城高校(宮崎)から2016年のドラフト4位で指名された右ピッチャー。160キロに迫るストレートにフォークボールやカーブを織り交ぜたピッチングが持ち味。

▽2018年(2年目):中継ぎでリーグ2位の32ホールド
▽2019年(3年目):先発に転向。防御率1.95で最優秀防御率のタイトル
▽2020年(4年目):149個の三振を奪い最多奪三振のタイトル
▽2021年(5年目):
18勝5敗 最多勝をはじめ先発投手のタイトル4つを獲得。
最も活躍した先発完投型のピッチャーに贈られる「沢村賞」を受賞。
▽2022年(6年目):
自身初のノーヒットノーランを達成するなど、シーズンを通して圧倒的なピッチング、15勝5敗で史上初、2年連続で先発投手のタイトル4つを獲得し「沢村賞」にも2年連続で輝く。
▽2023年(7年目):
150キロを超える速球と多彩な変化球をコントロールよく投げ分け、プロ野球で82年ぶりとなる2年連続のノーヒットノーラン達成、3年連続で先発投手の4冠で、チームをリーグ3連覇に導いた。