電気 ガス料金の負担軽減措置 5月使用分でいったん終了 経産省

経済産業省は物価高騰対策として続けてきた電気・ガス料金の負担軽減措置について、ことし5月の使用分までで、いったん終了すると発表しました。一方、ガソリン価格を抑えるための補助金は当面、延長するとしています。

政府は家庭や企業などの負担を軽減するため、電気料金については1キロワットアワー当たり
▽家庭向けでは3.5円
▽企業向けでは1.8円を補助し、都市ガスについても家庭や年間契約量の少ない企業を対象に1立方メートル当たり15円を補助しています。

経済産業省はこの負担軽減措置について、来月の使用分までは同額の補助を続けて、再来月の5月の使用分は補助を縮小するとし、そのあとの対応については検討をしていましたが、29日、5月の使用分までで軽減措置をいったん終了すると発表しました。

これは、高騰していたLNG=液化天然ガスや石炭の輸入価格が、ロシアによるウクライナ侵攻より前の水準に低下したためとしています。

一方、ガソリン価格を抑えるための補助金は中東情勢の緊迫化などを背景にした原油価格の高騰のリスクなどを見極めるため、当面、延長するとしています。

齋藤経済産業大臣は29日の閣議のあとの記者会見で、「予期せぬ国際情勢の変化などで価格の急騰が生じた場合には、迅速かつ機動的に対応していきたい」と述べ、今後の電気・ガス料金の動向によっては、再び、負担軽減措置を実施する考えを示しました。

負担軽減措置 いったん終了の背景は

政府は電気・ガス料金の負担軽減措置をいったん終了する理由として、LNG=液化天然ガスや石炭などの燃料価格の高騰が落ち着いたことを挙げています。

財務省の貿易統計によりますと、火力発電の主な燃料となるLNGの輸入価格は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ヨーロッパ各国がロシア産以外の天然ガスの輸入を拡大した影響で、おととし9月には1トンあたり16万4909円と過去最高の水準まで値上がりしました。

こうした燃料価格の高騰を受けて、政府は去年1月に、電気・ガス料金の負担軽減措置を導入しました。

しかし、その後、ヨーロッパ各国が天然ガスの備蓄を増やした影響でLNGの輸入価格は下落し、ことし2月の価格は1トンあたり9万9140円と、軍事侵攻が始まったおととし2月に近い水準まで値下がりしています。

また、石炭の輸入価格もおととし11月には1トンあたり5万9180円でしたが、ことし2月には2万5080円と半分以下に値下がりしています。

政府はこうした燃料価格の下落の影響で、電気・ガスの料金が負担軽減措置を始める前と同じ水準で推移していることを踏まえ、措置をいったん終了することにしたとしています。

ただ、燃料価格の動向によって、ふたたび電気・ガスの料金が急騰し、国民生活に大きな影響が出る場合は、速やかに負担軽減措置を再開させる方針です。

一方、ガソリン価格を抑えるための補助については、地方などへの影響が大きく、中東情勢が緊迫化するなか、今後の原油価格の動向を見極める必要があるとして、いまの措置を当面、延長することを決めました。